住宅街の中の山小屋

やけくそだけどなげやりじゃない。のんびり流されるままゆらゆら。

2015/01/12 マルティン・フレスト、クラリネットリサイタル感想

兵庫芸術文化センターであったリサイタルに行ってきました。クラリネットの魔術師のリサイタルが4000円で聴けるなんてお得。

西宮北口から芸文へ歩いてると、たくさん人が居たけど殆どの人達が大ホールと中ホールに吸込まれていった。ここにクラリネット界最高峰の演奏家が居るのに勿体ない!!と心の中でつぶやく。

井上道義と大フィルのブルックナー交響曲第八番の公演、安席無いかなーと窓口で聞いて見るも残念ながらなく、受付の人の前でうんうん唸って悩んだ末に残ってた席を購入。ブルックナー不人気であんまり売れてないのかと思ってたけど、もう殆ど席が無いみたい。

チケット買っちゃったーるんるん~♪なんて思いながら小ホール。

クラリネット界の有名人のリサイタルだから関西のクラリネット奏者さん見かけたりするかなーっと思って少しキョロキョロしたけど発見できず。

サイン会があると言うことなのでロビーで販売されていたフレストのCDを勢いで買ってしまった。いつもCDはタワレコHMVで買うけど、なぜかフレストのCDは品揃えが悪くて殆ど扱われてないのでネットとの価格差も気にならない。

フレスト、黒パイプのダンス (Dances To A Black Pipe / Martin Frost, Australian Chamber Orchestra directed by Richard Tognetti) [SACD Hybrid]

フレスト、黒パイプのダンス (Dances To A Black Pipe / Martin Frost, Australian Chamber Orchestra directed by Richard Tognetti) [SACD Hybrid]

 

 会場に入ると、年配の方々とクラリネット吹いてそうな幅広い年齢層の女性が大半。祝日だったけども殆ど学生は居なかった。やっぱり学生は吹奏楽が好きで自分のやってる楽器でも独奏曲は興味が無いんだろうか。

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プログラムは舞曲がたくさん。注目はやっぱりクレズマー舞曲!個人的にはマルティン・フレストの代名詞みたいな曲だと思う。クラリネットにも格好いいところもあるんだと教えてくれるような曲。


Martin Fröst plays Klezmer dances by Göran Fröst ...

開演してまもなくフレストとピアニストのペンティネンが出てきた時、目の前に世界的に有名なクラリネット奏者が居ると言うだけで感動してしまった。

シューマンの幻想小曲集の最初の音を出した瞬間からもう別次元の世界!

音がしみ出てくると言うか湧き出てくるような異次元の音の立ち上がり!静寂から音楽への移行があまりにも自然すぎて一瞬、耳と頭が置いて行かれてしまった!

息の音も何も無く始まる滑らかな発音の凄さで自然と顔が笑ってしまう。

重く密度の濃い音だけれども直線的では無く曲線的な動きをする音。体は動きまくっても音がブレたりしないで心地よく聞こえるので不思議だった。フォルテでも音に余裕があって一つ一つの音の説得力というか主張がハッキリしている。全ての音が叫んでるような力強さみたいなのもあるけども、けたたましい感じでは無くて耳に優しい柔らかい音がする。地面から湧いてくるようなpppは凄すぎて笑うしか無かった!

一つだけ気になったのがやっぱり息の音。でも性質がいつものと違ってベルからの息の音では無くて循環呼吸?をしている時の鼻の呼吸音のように聞こえた。席が近ければどこから出てる音かわかるけど離れていたので残念ながら分からず。おそらく呼吸音なのであんまり気にならなかったけれども一つだけ残念ポイント。

シューマンの幻想小曲集を聴いてるとなぜか中世ヨーロッパの都会の夜の風景が浮かんでくる。上空から街を見ていると路地には美しい音色を奏でながら歩く妖怪や悪魔達がウヨウヨしていて住人は怯えて居るみたいな風景が。

フレストの演奏聴いていると妖怪フレストがクラリネットを吹きながら街を縦横無尽に闊歩する様子が目に浮かぶ。

ペンティネンの独奏もまた驚きで、暗く濁った重々しいショパンマズルカは聴いたことが無い演奏。猫背で鍵盤を凝視するような演奏姿はグレン・グールドを意識してるように思えた。

ルーマニア民族舞曲集からはフレストの超絶技巧炸裂!シューマンの幻想小曲集は名曲だがフロストには簡単すぎた!!

続くハンガリー舞曲集もそうだったけどもクラリネットがフレストの指に追いついてないような部分も!pppで繰り広げられる驚異的な指技に「アレ?今、音鳴って無くて失敗したんじゃ無いの?」と思うくらい。

速すぎて耳と頭が置いてかれるような錯覚に陥る!!心なしかピアニストも、その速さに必死に食らいついているように感じた。

一転して、ファリャの7つのスペイン民謡の第5曲「子守歌」では技巧だけは無く美しく歌う事でも超一流であることを示す非の打ち所の無いプログラム。

ちょっと技巧技に疲れたところにポンッと優しい滑らかな曲を置く気配りに恐れ入る!

ピアノ独奏の後に待ってましたクレズマー舞曲!

 

だったんだけども期待しすぎたのか思ったほどの感動は無かった。もちろん感動したけれどもピアノと殆どくっついて吹く位置のせいかピアニストが大きく弾きすぎたのかピアノの音ばかり聞こえて肝心のクラリネットがあんまり聞こえず・・・。CDでも動画でもオーケストラ伴奏だから迫力負け印象負けしないようにピアニストが頑張って音量を出した結果、少し残念な演奏になってしまったのかも知れない。

この曲はオーケストラの伴奏、特に弦楽器のキレのある刻みとピチカートがあってこそ際だった面白さが発揮されるのかなと思った。

 

アンコールはピアソラオブリビオンチャルダッシュ

チャルダッシュがまた凄かった!普通のプログラムだと大トリにされるような曲を超絶技巧披露した後にアンコールでやるあたりさすが超一流。

どの曲も完璧で、これ以上のモノこれから先クラリネット聴いて出会えるかなと思えるくらい素晴らしい演奏だった。

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終演後のサイン会でサイン貰いました。お二人の写真を撮ろうと思って付き人みたいな人に写真撮って良いか聞いたら「後で」と言われ撮影タイムでもあるのかと待っているとサイン終了後さっと立ち去ってしまったので写真撮れず。正確には、サイン会の風景をみんな撮影してたのでそれを撮ったけど良い写真じゃ無いしネットに上げて良いか聴けなかったのでニヤニヤ観賞用に。

サインの時に「Thank You!!」と言うと優しい声でThank You返ししてくれてフレストとても優しい人だと感じた。また来年、関西に演奏しに来て欲しいな。

モーツァルト : クラリネット協奏曲 イ長調 他 (Martin Frost | Mozart) [SACD Hybrid] [輸入盤]

モーツァルト : クラリネット協奏曲 イ長調 他 (Martin Frost | Mozart) [SACD Hybrid] [輸入盤]

 

 Twitter見てると東京公演はクラリネット奏者勢揃いみたいな感じだったようなので羨ましい。関西のクラリネット奏者ほぼ見かけなかった。