住宅街の中の山小屋

やけくそだけどなげやりじゃない。のんびり流されるままゆらゆら。

ネイガウスのピアノ演奏芸術を読んだ。

 Amazonだと絶版だけどジュンク堂や紀伊國屋で検索すると在庫があるので新品普通に手に入ります。

日本の古本屋

↑の日本の古本屋にもありますがいつ出版の奴か買うならよく確認してください。大きく分けて二つ版があります。

ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記

ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記

 

 読み始めてすぐ思ったのが難しい・・・。ピアノ演奏哲学でもおかしくないくらい文体が堅いって事。1965年、1966年の園田四郎版と2003年の森永皓子版がある。最初、園田版を読んでたんだけど約50年も前だし読みにくい部分が多いなと森永版を買ってみるも原書が難しいのか読みにくさ変わらず。むしろ園田版のほうがわかりやすい部分もあったりして一長一短。注釈がたくさんあるんだけど注釈の解説とかあったりして視線が行ったり来たりするしなんだコレって言葉あるしで読むのに苦労した。頭いい人だとすぐ読めるんだろうけど。

園田版はロシア語を日本語にしてやる!!!って感じで森永版は良い物を読んで欲しいから訳しましたって感じでピアノについて何かプラスになればなーと読み始めたのに昔の翻訳者と現代の翻訳者の違いにも結構意識がとられた。昔の翻訳者は言葉を作り出すことが出来たんだなと。今は何でもカタカナ語だもんね。明治の偉人たちがカタカナ語という妥協に走らず造語をたくさん作って日本語を豊かにしてくれたからこそ今の日本があるのに今の翻訳家はだらしないな、なんて思いながら読んでた。

話がそれたけどネイガウスといえばロシアの大ピアニストでピアノ教育家だからロシアピアニズムについて何か知れればなーと軽い気持ちで読み始めたけど哲学書的な物になれてないしピアノのレベルも自分のような初心者レベルだと吸収できる物が少ない。それでもリズムに関する章や鍵盤を斜めに打鍵してはいけないとかポジション移動の仕方とか複雑な比喩で書いていて勉強になる部分もたくさん。時間かけてちょびちょびと読み進めたから結構忘れてるけど、ほっとくと余計に忘れるので今感想書いておくw

読み返す度に新しい発見があるタイプの本だと思う。わからないところは今の自分に必要ないことだっていう乱暴な割り切りで強引に読んだ。

一番強調されてたのがまずイメージありきということ。幼いモーツァルトがすぐに作曲できたり楽器が弾けたのは頭に音楽が流れていたからだと書いてある。弾く前に音楽が頭に流れていないと行けないとはよく言うけどネイガウスは特にそれを大事にしているようで至る所でそれが強調されている。技術が無きゃ良い演奏はできない。芸術的イメージあってこその演奏だ。技術だけの「上手い」演奏なんてたくさんあると。

どれだけテンポ揺らしても天才ピアニストは規則正しくメトロノームを4分音符で4つずつ刻んでるのと同じように終わる。メトロノームより早く終わったり遅く終わったりすることがないっていうのはなるほどなとリズム音痴には響く言葉があったり面白い。(伝わるかな?算術的平均時間とか書いてあるんですよここに)

60秒だったら60秒の中でテンポを自由に暴れまくってもかならず60秒で演奏が終わる。65秒だったり55秒になることは無いってことらしい。リタルダントとかあっても都会の名人芸的運転手みたいにどこかで回復運転して定刻通りみたいな。

ピアノの横に指揮者を用意しろとか勝手に編曲するな(思うがままに弾くことを勝手な編曲と書いてある)とかすぐに自分の中に取り込める言葉もあるのでネイガウスやロシアピアニズムに興味ある人は読めると思う。バッハとかベートーヴェンのソナタ、ショパンのエチュードとかの譜例が結構あるのでそれくらい弾ける人だともっと楽しく読めるんじゃ無いかな。

あるピアノ教育者の手記って副題らしくピアノ教育者向けの面もあってピアノだけじゃなく音楽を教える機会がある人には読んで欲しいな。教育者はこうあるべきだ論みたいなのが書いてある。演奏家兼教育者なら生徒を取り過ぎるべきじゃ無いとか真の教育者なら生徒側から自分を評価するとかそんなの。

教育者らしく才能とは情熱だ!なんて文字通りのすぐに上達するって意味での才能が無い人間には響く言葉が書いてあったり読書体力のある人にはお勧め。教養人だったネイガウスらしくピアノ教育者が書いた哲学書って感じの本だった。一回半くらい読んだだけじゃ感想書くべきじゃ無い本なんだけどほっとくと忘れるからさ!


J.S.Bach 平均律クラヴィーア第1巻 第1番 プレリュードとフーガ - YouTube

褒めるときはいつもリヒテルの名前を挙げていた。

将来は録音技術が発達して音楽教育者の代わりにレコードが教室に座って居るみたいに書いてたけどネイガウスの描いたような世界には、まだなっていないね。ラフマニノフの録音を聞いた生徒にレコードを聴いて何を君得るか!レコードがあれば俺は要らないじゃ無いか!ってことで音楽を聴いて耳から盗む重要性も説いてらっしゃった。

ベートーヴェン:ピアノソナタ集

ベートーヴェン:ピアノソナタ集

 
ネイガウスのピアノ講義

ネイガウスのピアノ講義

 

 ↑同じ訳者で関連本みたいなので今度はこれを読む。難しくないですように!